年越し脊振山系全山縦走①
+++ライトトーキングマシン / ep. 142
2人ともいつかはやってみたいと思っていた。
今年の年末年始は「ここ数年くじゅうばっかりだったし、たまにはのんびり家で紅白歌合戦でも。もしくは海の近くで車中泊年越しもいいなぁ。」なんて考えていたけど、ライトさんから不意に
「年越し脊振縦走でも行く?」
と言われたのは26日くらい。
計画立てるのが苦手な私達は今回も突然だった。
「行っちゃう?」と返事してからは早速頭をフル回転。
以前から話していた通り3泊4日の工程でとりあえず計画を立ててみる。テン場もざっくり目星をつける。
既に年末まで仕事のスケジュールはびっちびち。おまけに夜も忘年会が入りとにかく時間がない。
仕事の合間に2人で装備の話を詰めていき持っていくものをリストアップ。
30日に仕事を納めたら急いでスーパーへ走り、買い出しを済ませ家に帰りリストを見ながら2人の装備をひとつずつ振り分け並べていく。
初めての4日間の工程なので漏れがないようにここは慎重に。
リストアップしていてもやはりパッキングにもたつく。最後に紙地図まで用意し布団に入ったのは夜中の3時半。
今回は糸島側、十坊山から基山を目指す。
朝6:40佐賀駅発の電車に乗り込む。
いつもどこへ行くにも車移動なので電車移動は旅感あって新鮮。眠いけど。朝食も摂った。
途中乗り換え2時間程でスタート地点福吉駅へ到着。
正直なところ既に疲れも眠気もMAXだった。
だけど「無理はしない・したくない。のんびりマイペースで。」という事を2人で決めていたので "いつでもやめていい精神" で焦りもなくただ、今の状態を受け入れる。ダメだったら家でぬくぬくのんびりお正月も楽しそう。
「さぁ、いこかー」
ちょっとのワクワク。緊張感はなくいつも通り、のんべんだらりと歩き出す。
歩き出してから改めてザックの重さを痛感。
2人とも13kg前後。先が思いやられる。
まもなくトレイルに入り心拍も一瞬にして上昇。早速汗をかき水分補給もし、ウエアを一枚脱ぐ。
「いやー、きついねーw」
と序盤も序盤に顔を見合わせる。
「ま、行けるとこまでね。」
とゆっくり歩き出す。
2人の登山者とすれ違い1座目十坊山。
海がまだまだ近い。先は長いのでサクッと写真を撮りすぐ東側に見える浮嶽へ向かう。
ここは8年前にも歩いたルート。きつかった記憶はなんとなくあったがそれ以上にきつい。歳のせいか。。
お昼時に辿り着いた浮嶽山頂にて初めてのお湯沸かし。
私はこのタイミングでトイレを済ませる。
そして生理が来た事に気付く。しかしもちろん想定済みで装備も心配は無い。寒い中草むらで準備を済ませる。
「初日からかぁ。」と気持ちは少し重たいが「これもひとつ経験だよね。」と、割と前向きになれた。4日間歩く体にどんな影響を及ぼすのか興味が湧いた。
準備を済ませ戻った時にはライトさんがフリーズドライ味噌汁を用意してくれていた。
味噌と具が分かれているタイプのインスタント味噌汁よりはるかにこちらの方が美味しい。具も乾燥臭も気にならず食べ応え◎
長い事待たせていた間に2人とも身体が冷え切ってしまったのでささっと補給し先を急ぐ。少し歩けばまたすぐポカポカするくらいの気温。
分かってはいたが初日からアップダウンがきつく眠気の波もある。予定していたテン場まで行くのは到底無理だという事はヘッデンを出した頃には分かっていた。
暗くなってからは声を掛け合い体力と相談しながらテン場の目星をつけて歩く。
しかしさっきまで「大丈夫」と言っていたライトさんの様子が少しおかしい。年末からの疲れと眠気と空腹で少し集中力が落ちているような様子。
「いいとこあったらすぐに止まろうか。」
と地図でさらに最短のテン場を探し、ラムネやグミを食べてなんとか歩く。
目星を付けていたところでしばらくウロウロしてようやくいい場所を見つけツェルトを張った。
そこでライトさんの疲れきった顔を見てやめる判断が少し遅かった事を反省。こういう小さな事から事故に繋がりかねない。怪我がなくてよかった。
お互い着替えを済ませ中へ。外は寒いが風も無く狭いテントの中は2人で入れば暖かさを感じるほど。
「きつかったねーw」とお湯を沸かしながら無事初日を終えホッとした。ここで持ってきたミニカップ蕎麦を見て今日が大晦日という事を2人で思い出し、笑う。
そんな事より蕎麦の出汁が沁みる。アルファ米に混ぜ込んだふりかけの塩気が沁みる。
アルファ米嫌いなライトさんが「美味しい美味しい」言いながら食べてる姿がなぜかとても嬉しかった。疲れと寝不足で色んな感覚がバグっているのかw
お腹が落ち着いたところで乾杯でもしようかと持ってきたウイスキーを一口呑み、ゴロンと横になったライトさんはすーっと目を閉じそのまま寝息を立てる。早い。寝袋は適当にかけたままだったが気持ちよさそうに寝ているのを起こせるはずもない。
私もそろそろ限界。狭いテントの中なんとか2人分の荷物を片付け、強引に横に潜り込む。寒さは一切なくむしろ少し暑いくらいだった。
夜中に「ドーン!」という大きな音で目が覚めたのが0時。新年。どこかで打ち上げ花火が上がっている。またそのまま目を閉じる。疲れと寝不足で珍しく朝までぐっすりだった。
朝6時ごろ先に目を覚まし身支度を始める。トイレを済ませて戻った頃にはライトさんもパッキングを始めていた。先に動き出したはずなのに完了したのは私が後だった。まだまだ準備にもたつく。
うっすら明るくなってきた頃に歩き出し本日最初のピークで初日の出となった。お正月感は一切ない。
補給予定の水場を目指す。
水量はそこそこ。ひとまず安心。先は長いので空になったボトルを満タンにしザックの重さはリセットされた。
今日もきつい工程だと分かっていたので気合を入れ直す。
のんびり歩いてなん度も立ち止まりこまめに補給。
今回の私の行動食はトレイルミックスと、パンにピーナッツバターとチューブの生クリームをはさんだハイカロリーサンド。
ロングハイカーのだいちゃん直伝ピーナッツバターサンド。家ではライトさんから甘いパンを禁止されているので「ロングハイクに行けば食べれるね⭐︎」と冗談半分で話していた事が現実になった。この縦走中の楽しみのひとつでもある。家で食べてたら絶対おこられるヤツ。
4日間だから食パンの4枚入りを買い、家でまな板を使って潰してきた。これにたっぷり2種類のクリームをサンドして罪悪感なく頬張る。甘いの好きな私にとって山の中でのこの上ない贅沢。
甘いの苦手、クリーム嫌いなライトさんでもおいしいと唸る。カロリー計算を読み間違えているであろう彼もこれが食べられるなら残りの工程も私のバターサンドで補えそう。
山でどんなものを体が欲するのか知る事も勉強。
私は過去のトレランレースなどの経験から "甘い" "しょっぱい" "すっぱい" 全部食べたくなる事を予測できたのでそれに当てはまる行動食を持って行って正解だった。食はメンタル維持にも関わってくるはず。
気温は初日より体感的に低く雷山に着く頃には風も更に冷たく感じた。灰色の雲が濃くなってきている。
ここは360°見渡せる山頂。よく見ると遠くで雪が降っている。どんどんこちらに近づいてくるのが分かった。
「いよいよ寒波がきたね〜♪」なんて言いながら逃げるように井原山へ足を進める。
雪を見たあとは歩きながらも余計に寒さを感じてきた。すぐ雪に追いつかれ小さい粒の雪が肩や頭に落ち、溶けずに残る。
今後の気温や明日以降の中断の心配はもちろんあったが、それでも明日の朝が楽しみになった。
ヘッデンを出し2時間ほどのナイトセクションへ。
昨日しっかり睡眠を取れた事と歩く事に体が慣れてきたせいか、今日はライトさんも調子良さそう。
福岡側は夜景が綺麗。あたたかそうな街の光が見えるとなぜか安心した。暗い山の中で先を急ぐ事なく2人足を止めのんびり夜景を眺める時間が心地よい。
今日も風がなくフラットな宿泊地を見つけた。少しでも傾斜があると就寝時に不快感があることは昨夜で学んだ。なるべく快適に寝て疲労回復に努めたい。
テント内はさほど寒くはないが外の温度計は既に-5°をさしていた。食事を済ませるとすぐに眠気がきたのでやっぱり体は疲れているらしい。体が温まってるうちに今日は2人で早めに就寝。
昨夜ほど爆睡とまではいかず夜中に目が覚めポツポツと雪が降る音が気になってなかなか眠れない。靴を外に置いている事をふと思い出し、でも「起き上がりたくないなー。」としばらく考えようやく起き上がった。まだ靴の中に積もってなくてよかった。
それからどのくらい経ったかわからないが今度は寝返りの際にテントから雪が滑り落ちる音が聞こえ、雨のように雪がテントに打ち付けている。
明日がちょっと心配になったがライトさんはグーグー寝ている。いつも羨ましいくらい爆睡している。
「まぁ1人で考えても仕方ないか。」
明日の朝を楽しみにもうひと眠り...
来週に続く。
4日間の話をまとめ切れるはずもなく...w
来週もお付き合いください♪
週末はまた寒波がきますね。
山に行く方、遠出される方はどうぞお気をつけ下さい。
それでは皆さん良い週末を。良い山行を。
2026/01/10 sat.
+++ライトソーイングマシン / オオツカ ミオ