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年越し脊振山系全山縦走 ②

+++ライトトーキングマシン / ep. 143

ep.142のつづき

3日目朝。
テント外の気温は-5度。
周りはすっかり白銀の世界。
たった一晩でこんなにも景色が変わるものかと不思議な気持ちとわくわく感。1,2日目に遅れた分を今日明日で取り戻すつもりだったので不安もちょっと。
雪の想定はしていたものの半信半疑だったとこもあり本当に積もってくれたことにテンションあがる。
撤収を済ませひとまず歩き出す。
ノートレースの樹林帯に「ギュッギュッ」っと、2人が歩く音だけが響き今日は出出しから既に歩くのが楽しい。
先行者はいないらいしい。そりゃそう。お正月気分どころではなく、ココロオドル♪2人だけの雪を楽しんだ。
本日ひとつめのピーク金山に到着。
青空が見えたかと思うと一瞬でガスの中。今日はそんな天気。顔に打ち付ける雪が痛くて寒くてこの先の不安を煽られる。
ここからはチェーンアイゼンを装着。二日間ただのおもりでしかなかったこれがようやく出番をむかえる。心強いお守り。
深いところで積雪は10センチほどだったか。強風の中の稜線歩きはお互い声を掛け合いながら、雪に隠れた足場を探り探り慎重に進む。
今回の縦走ルートは初めて歩くところが多いが猟師岩山前後の岩岩しいエリアも初。普段はどうか分からないが雪がのったこの日は、一瞬撤退も頭がよぎるほど危険なところもあり中々進まない。
途中前を歩くライトさんの足が止まり先を見ると足場の狭い岩場。福岡側からは相変わらずの強風。一歩間違えると...
ザックの重さと強風が不安にさせるたった5メートルほどの岩場のトラバース。しばらく考えた後、今回ツェルト設営用に持ってきたスリングをライトさんが取り出した。もちろんこういう "もしも" の場合でも使えるエマージェンシーとしての役割も兼ねて一番長い  cmのものを2本。カラビナもそれぞれ一本ずつ。
近くの木を使いながら。先行したライトさんに支点になってもらいながらなんとか安全に切り抜けることができた。
しばらく緊張するようなエリアが続いたがスリングのお陰で難なく進むことができた。
後からログを見るとたった1キロ程の距離を1時間半程かけて歩いていたw

鬼が鼻岩までくるときれいな青空と次の目標地点 "脊振山" も見えてきて「怖かったね〜」とようやく緊張が解けた。
また脊振山が見えたところで「やっと半分かぁ」と、今までちゃんと進んでいた事を実感。この後峠まで下りまた脊振山へ向けて登る。脊振縦走はひたすら登って降りての繰り返し。なかなか気持ちよく歩けるエリアが出てこないw
山頂を離れれば樹林帯が多く風が弱まってくれるのでしばらく歩けば体が温まってくれるのはありがたいが、今日は立ち止まればすぐに体が冷えてしまう。あったまっては冷えるをひたすら繰り返す。
そう言えばこの時くらいにはザックの重さをあまり感じなくなっていた。普段10㎏以上のザックを背負うことがほとんどなくむしろ今回はそれ以上。出発前から既に重いと感じていたザックを毎日背負って歩いたらどうなるのか少し不安はあったが3日目にして慣れたのか気付けば"無"になっている。慣れってすごい!って、気付いた時には思い出したかのように肩の痛みを感じるんだけど。。

脊振山頂手前は少しの車道歩き。雪掻きされた車道だけあって通行量もそこそこ。視線を感じながら山頂へ。
やはり風は強いが福岡側が太陽の光に照らされて降雪エリアとのコントラストが美しく幻想的でもある。
ライトさんに気温を聞かれ標識に設置された温度計を確認。
「-14℃くらいになってるから、これ壊れてるみたい。」と返答。一体何℃くらいだったのか...
脊振山頂下のキャンプ場広場では雪遊びやソリ遊びをする家族がいたり駐車場は車の出入りが頻繁。やっぱり九州人は雪が降ったら嬉しいよね。ぬくぬくの車から出てくる人達やワンコが羨ましかった。
こちらはどんどん体が冷えてくる。風もそんなに強くないのにおかしいな。駐車場に設置された自動販売機で早速あったか〜いココアとミルクティーを購入。甘いのとあっかいのが染み渡る〜。昨夜に仕込んだハイカロリーサンドで補給。今日もピーナッツバターサンドにだいちゃんの面影をみる。
にしても体が冷える冷える!行動中に寒さをあまり口にしないライトさんも寒そう。ふと目の前の看板の温度計が目に入る。
「ん?こっちも-14℃になってるよw」
異常に冷えるのは気のせいではなく本当に寒いらしい。そりゃブルブルもするはず。
しかしここまでくれば今日のゴールも見えてきた。

ちょうど日も暮れはじめ夕陽に照らされる雪道が綺麗。遠くまで山が見え今日も長かった1日が終わるんだなぁ...残すはあと1日かぁとちょっぴりセンチな気分にもなりつつ、ヘッデンを点けた頃には西には真っ赤な夕焼け東の空には明るい月を見ながら静かな森歩き。
3日目もコンディション◎なテン場を見つけ、悟空の修行みたいだなぁと思いながら重たいザックを下ろしチェーンアイゼンの付いた靴を脱いだ。ドスッ!
ゴアテックスの靴の中は雪やら汗やらでぐっしょり。これを明日も履かないといけないと思うと恐ろしい。
ライトさんの足からは真っ白な水蒸気がもくもくあがっている。恐るべし発熱量w これまた羨ましい。
ツェルトの中では向かい合って座りテント真ん中でジェットボイルでお湯を沸かす。この時間がいちばん幸せな時間。1日歩いた達成感と疲れにまみれて1日を振り返り「今日は何食べるの?」とお互い聞き合うリラックスタイム。お米か麺しかないのにねw
問題は残りの距離。
1,2日目に予定より距離が伸びないのは予測していたが3日目は想定外。残すところ23kmほど。私達のペースで明日基山まで辿り着けるか微妙だったのでもう1日増えても装備等に問題ないか再確認。食料も大丈夫そう。これが分かるだけで明日も楽しくのんびり歩けそう。
この日の夜は体感1番寒い夜だった。肩が触れ合うくらいの狭いツェルトでよかった。隣に寝ている大きいホッカイロが一晩中熱を発してくれている。
濡れた靴下をお腹に。濡れた手袋を左右のポッケに入れ、明日になったら靴も乾いてないかなーという甘い考えを胸に眠る。

私が先に目が覚めたら身支度を始め遅れてライトさんが起きるというルーティン。撤収からパッキングまで4日目となると慣れたもんだ。
今日の問題は靴。先に外に出たライトさんが「靴がカチコチ!」と言いながら楽しそう。テントの中に入れていたにも関わらずやっぱり凍っていた。勇気を出して履こうとしても固まった靴に足を入れるだけでひと苦労。やっと履けたかと思えば当たり前だがキンキンに冷たい。だけどこれがちょっとロングハイカーっぽくて嬉しかったり⭐︎
嬉しい気持ちは一瞬だけなので、最終日(の予定)早速歩き出す。

この日は昨日と違って動物の足跡多め。ずーっと跡を追って歩く。
蛤岳をサクッと越えたら蛤水道へ。話は聞いていたけどこの日も水は豊富。水はまだ残っていたのでここでは補給せず進む。

今日の雪はちょっと湿っぽく私のアイゼンは靴裏ですぐに雪団子になり落としても落としてもハイヒールで歩いてるようでちょっと不快。この辺りでアイゼンを外した。ルートは比較的上りも下りも緩やかで4日間の中で1番歩きやすく自然とペースがあがる。
標高は下がり雪も少なくなってきた。少し寂しくも感じる。九州自然歩道の標識には基山までのカウントダウンが始まり、見るたびに「あと〇〇kmしかない。」とライトさんが口にする。その気持ちは分かる。名残惜しい。
今日も天気はいい。標高も低いので強風にさらされることもなくなり本当に気持ちが良い。最終日も"だいちゃんサンド"をふたりで頬張る。ライトさんからハムサンドも振る舞ってもらいハイテクな味に体が喜ぶ。最後は豪華なランチになった。
しっかり補給でき九千部を目指して出発...した瞬間、さっきまで一切何ともなかった左太ももに痛みが走る。
すぐに治るだろうと気にせず歩いても山頂に着いた頃には痛みが増していった。ライトさんにとりあえず報告。降りに差し掛かったところで踏ん張りきれずに転び、これでさらに痛みが増しペースダウン。上りも下りも痛みがあるので辛い。
ライトさんの手や肩を借りながら長〜い下りをゆっくり行くもここに来て気持ちよく歩けない悔しさと申し訳なさで焦る気持ちと、最後まで2人で楽しんで歩きたいという気持ちが混ざる。
そのうち私の荷物をライトさんのザックに移して持ってくれて少し楽になった。年明け早々一年分のありがとうを言ったかもしれない...w

トレイルを抜け峠へ出たところで基山への縦走路が通行禁止になっており、きつい視線を浴びながらの長い車道歩きへ。
住宅街に入り込み超ローカルチックな竹林のトレイル(地味にきつい)から謎の226m小ピークを目指した。
結局目前でピークはスルーしまた住宅街に出てきた。
九州自然歩道ではないルートを今になってスキップしても良かったのではないかと思うw

そしていよいよ最終目的地の基山へ。

私の分の荷物も背負っているライトさんも流石に疲れがピークを迎えようとしていた。最後まで安全に歩けるように暗いトレイル上で立ち止まりトレイルミックスで最後の補給。
そしてしばらくして基山駐車場にでてきた。ここまできたら山頂目前。のはずが焦る気持ちと人工物が出てきたことにより現在地が分からなくなりしばらく周辺をウロウロ...
していると一台の車がこちらに向かってクラクションを鳴らし車から降りてきた。
「マックスです!」
とマックスがサプライズ登場。
ライトさんのインスタを見ながら1日探し回ってくれていたらしく、ここで会えなければ...と基山で待っててくれた。
"嬉しい"以外の言葉が見つからない。
MAXありがとうマックス!
そこから山頂まで案内してもらい、3人でいよいよ最後のピークへ。

脊振全山縦走するなら基山から十坊山ルートがいいと言われるのは十坊山からの景色がご褒美にいいかららしい。
私達は逆ルートを選んだのであっさり終わるんだと思っていたし、別に何かを求めてもいなかった。

最後の階段を上がると一面綺麗な夜景が目に飛び込んできた。
空を見るとここ数日で一番まん丸の月、満月が見えている。
71km歩いてきた最後がこんなにも美しいなんて。
2人で一緒にここまで歩くことが出来てまさに感無量。
いろんなことがあった4日間。仕事の話もしたし、純粋に山も楽しんだ。たったの4日で初めての経験もたくさんだった。
熟練ハイカーでもないトレイルランナーでもないただの山の袋屋で普通に山が好きなだけの私達が同じ感覚で歩けたこと、9年前に購入した "佐賀県の山" の本を見て脊振山系全山縦走というものを知り「いつかは...!!」と憧れていたあの頃の気持ちを抱き続け挑戦出来たことを本当に嬉しく思います。
これまで歩いてきた山と一緒に歩いてくれた夫にただただ「ありがとう」 。

さて次はどこを歩こう。

完。

2週にわたり長々長々とお付き合い頂きありがとうございました。
まとめきれずにごめんなさいw

おすすめの九州自然歩道エリアとかあれば是非教えてください♬

ふぅ〜、疲れた〜w

それでは皆さん良い週末を。良い山行を。

2026/01/17 sat.
+++ライトソーイングマシン / オオツカ ミオ